アマゾンで予約してたライトノベル「君が衛生兵で歩兵が俺で」が届いたので早速読んでみました。
オススメ出来るというよりなんか色々と考えさせられる作品です。
目次
現役自衛官執筆ということで買ってみた
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前の記事でもちょこっと書きましたが、このライトノベルは現役自衛官が執筆したということで興味本位で買いました!
元々自衛隊には興味があったし戦争系FPSが大好き。
更にサバゲーなどもやってたぐらいなのでこういったミリタリー系は嫌いじゃないのです。
ここ2年ほど忙しくて一切ラノベは読んでいなかったのですが(´・ω・`)
あらすじ
本作のあらすじは以下となっております。(裏面より)
半分高校生、半分自衛官。陸上自衛隊武山高校二年の大嶽隼人は、アメリカ兵にナンパされていた学年一の美少女、磯鷲音矢を守る為に喧嘩をし、その日から二人は「友だち以上恋人未満」の微妙な関係になった。
しかし、永遠に続くと思われていた穏やかな日常は、ある日、唐突に終わりを告げる。
何者かによって政府首脳が暗殺され、竹山高校の校長であり防衛大臣でもある、繭川巴が実質的な日本のリーダーになったのだ。自衛隊を国軍化しようとする繭川に対し、これに反発する勢力が生まれ、日本は内戦状態に・・・!
ちゃぼはおバカなのでなんやかんやで日本が内戦になって
「知識豊富な現役自衛官による戦闘描写が楽しめるラノベだぜ!」
と思ってたら内容は憲法第9条が絡んでくる非常にヘビーなものでした。
ただの戦闘ものだと思ったら大間違い!
ラノベだしてっきり戦闘描写を楽しむものだと思っていたら非常に考えさせられる作品でした。
内容は主人公属する武山高校の校長にして防衛大臣の繭川巴が憲法9条改正を果たす為に現在の首脳を裏で暗殺して、自らが率いる武山高校の生徒や一部の自衛隊の部隊を抱きこみ国軍化を宣言、国民に9条改正の必要性を訴える為に国会議事堂を盾にして現在の自衛隊と一戦を交えるというとんでもないもの。
まさかの主人公側が悪役というかテロリストに近い立場・・・。
ちなみに繭川巴が憲法9条を改正しなければならないという考えに至ったのは先のイラク戦争で自らが率いる部隊が敵の襲撃を受けながら、憲法9条をはじめとした様々な足かせのせいでロクに反撃が出来ず結果多くの命が失われたことがきっかけとなっています。
結果として同じ自衛隊やその他大勢の血を流すというテロ行為に近い行動を取った彼女には賛成できませんが、改正が必要だという考えにいたる部分には少なくとも自分は共感できました。
そういえばその部分を読んでいる時に以前観た事のある映画「宣戦布告」(原作はたぶん小説)のことを思い出しました。
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この映画では某国の工作員が日本に上陸するのですが、こちらでも様々な法律が足かせとなって自分の領土を守るときでさえまともに戦うことのできない現在の日本の現状を鋭く描いてます。
最終的に撃退には成功するのですが反撃が遅れたせいで多くの自衛官の命が失われました。銃を向けてくる敵を目の前にして何も出来ずに倒れていく自衛官達の姿は見ていて本当に辛かったです。
当時は今より更に幼かった私ですがその私でさえ終わった後は「うーん・・・」と考えさせられずにはいられませんでした。
中にいる人だからこそ書ける細かい描写や用語
本ラノベの中には自衛隊の用語や軍事的な表現が頻出しており、現役自衛官執筆というのも納得できる内容でした。
少なくとも実際に自衛隊に所属したことのない単なる自衛隊マニアには描けないと思います。
女性自衛官のことを「WAC(ワック)」というのは知っていましたが、巨体のWACさんのことを「重WAC」なんて呼ぶのは全然知らなかったので彼女達のことをそう呼ぶ男性自衛官の姿を想像すると笑ってしまいました。
他にも自衛隊なので階級もたくさん出てくるのですが読者に分かるように説明もしっかりと添えてくれているのでミリオタでなくとも内容は十分理解できます。
またアマゾンのレビューにもありましたが、「改憲派」や「護憲派」といったことに関してもちゃんと理解できるように書いてくれています。
ここらへんはラノベのいい部分でしょうか。
いろいろと考えさせられるセリフ
本作の中からいくつかセリフを・・・
「我が臨時政府は、治安出動に乗じた憲法改正の実行を内々に決定しました。今まで自衛隊の名誉は、憲法9条というペテンのもとに踏みにじらてきました。私達は、守るべき国家から無視され続けてきたのです。
ですが私達は憲法の私生児としてではなく、名誉ある守護者として存在することを願っています。皆さんも、その思いに曇りはないと思います。」
「皆さん。語るべき国家観と、そして歴史観を持ってください。私たちの日本はある日突然あらわれたのではありません。
私たちの先祖の、気の遠くなるような努力と犠牲の上に成り立っているのです。私達が、次の世代にどのような国家を残せるのか。まさにそれが今、問われてようとしているのです。」
「狂うことでしか国を変えられないのなら、狂うほかに道はない」
「・・・私達日本人は、戦争に負けて大きな罪を犯してきました。それは、『国家としての誇り』を失ってしまったことです。
自衛隊をまるで憲法違反であるかのようにあつかい、アメリカとの同盟に安心しきってお金だけを追いかけてきました。
・・・『誇りなき繁栄』。それこそが、私達日本人の罪です」
個人的に残念な部分
内容以外で残念な部分が挿絵のレベルが低いこと。
こちらや表紙の絵自体は別に気にならないのですが、本文の合い間合い間に挟まれる挿絵のクオリティーがなんか低く感じました。
別に絵に詳しいわけではないのですし、もちろん場面には合っているのですがなにか違う・・・そんな感じです。もどかしいですw
アニメなどが好きな私にとってはそこらへんも結構重要なポイントですので少し残念でした。
スマッシュ文庫のラノベ自体買うのははじめてなので、こんなものなのかな?
異色のラノベで注目されてるんだからそこらへんももっと気合入れたらよかったのに(´・ω・`)
ちゃぼは意外と右よりでした
私は自分が生まれた日本という国が大好きです。
もちろん政治などに関しては不満はあるものの、自分が日本人であるということに誇りを持っています。
そうした私からすれば上でも書いたとおりやり方自体には賛成できませんでしたが、繭川巴の愛国心や考えには共感できる部分が多々ありました。
このラノベを読んだ時になぜか中学の卒業式のことを思い出しました。
私が中学の時には丁度「君が代」斉唱が問題となっていた時期で、卒業式のときに自分含め数人しか立っていなかったことにひどく落胆したのを覚えています。
別に立たないこと自体は構わないのですが、その理由が「周りが立たないから」というのがなんとも納得がいかなかったのです。
自分達が生まれ育った国の国歌なんですから「自分は歌わんとする確固たる主張」がない限りは歌うのが当然でしょう。
これまで後悔ばかりの人生を送ってきたちゃぼですがあの時だけは周りに流されずにちゃんと立って「君が代」を歌って本当に良かったなと思ってます。
繭川巴は文中で
「誇りと価値観を失ったこの国が覚醒するには、砲弾の嵐によって研磨されることが必要です」
と言っていますが、確かに実際に他国から侵略されない限り日本の国民が目を覚ますことはないのでしょうねぇ。
まあ、少なくともそれを作中のように内戦という形でやってしまっては受け入れてもらえないのは当たり前ですが(´・ω・`)
これまでゲームとラーメンの毎日をだらだらと送っていたちゃぼですが、なんか久々に色々と考えさせられました。
「ラノベ好きになら誰にでもオススメできるぜ!」という作品ではありません。賛否両論分かれます。
ですが私自身は日本や自衛隊の在り方等について考えさせてくれたこの作品に感謝しています。
久々に読むラノベとしては「当たり」でした。
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